第17回アレルギー週間記念講演会

内容レポート(若大将レポート)

《若大将からこのレポートに関して一言》

  このシンポジウムは、アレルギーに悩む一般の皆さんに正しい知識を身に付けて欲しいと
  アレルギー専門医の先生方から、ボランティアで開催していただいております。

  というのも、アレルギーに関しては特に、医師と本人や家族が協力し合って治療していかなければ
  十分な成果が上がらないものだからです。

  そういう意味でも、「このような会に参加できない方々にも皆さんから教えてあげて下さい。
  また、教えられるようにしっかり聞いて下さいね。」と西間先生も以前からおっしゃっておられました。

  という訳で、私は、このサイトを通じて皆さんに少しでもお役に立てればと考えております。

  毎年レポートを書いておりますので(多少重複することはありますが)、今回は、以前に書いていない
  内容や印象に残った部分だけを
私の言葉でレポートしています。

                          日本アレルギー協会 一般会員 須崎弘己


日時:平成23年2月20日(日) 13時〜16時30分
会場:天神ビル 11F 10号会議室


テーマ「アレルギー・日常生活の注意点」

司会

西間三馨先生(日本アトピー協会九州支部長)

岩永知秋先生(国立病院機構福岡病院長)

1)「鼻アレルギー」
 講師:黒野祐一先生(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科教授)

2)「食物アレルギー」
 講師:柴田瑠美子先生(国立病院機構福岡病院 小児科部長)

3)「喘息:成人」
 講師:岩永知秋先生(国立病院機構福岡病院長)

  「喘息:小児」
 講師:小田嶋 博先生(国立病院機構福岡病院 副院長)

4)「アレルギー性結膜炎」
 講師:内尾英一先生(福岡大学医学部眼科 教授)

5)「アトピー性皮膚炎」
 講師:古江増隆先生(九州大学大学院医学研究院・医学部皮膚科教授)

6)「アレルギーとストレス」
 講師:久保千春先生(九州大学病院長)

私の感想


※今年は、講演中に使われるスライドをプリントして頂きました。
 ちょっと見難いですが雰囲気は伝わると思います。



1)「鼻アレルギー」 講師:黒野祐一先生

分かりやすく説明して頂き例え話が面白かったです。

花粉対策に、多くの人がセルフケア(マスク、メガネ、花粉情報の利用、市販薬・・・)をやられていますが
病院を受診される方は半分にも満たないほどだそうです。

ただし重症になるほど、やはり受診率は上がるようです。

まず、鼻炎が起こるメカニズムを簡単に説明して頂きました。

治療薬の特徴の説明です。

この辺から、市販薬との違いについて例え話を入れながら話されました。

市販薬と病院で処方される薬は
やはり違うらしく

市販の薬を飲むと
ウィスキー3杯と眠気防止のために濃いコーヒーを
飲んでいるようなものなので
頭が、ボーっとなることの弊害を説明されました。

数日の緊急的な服用だとまだ良いのですが、
継続的に服用すると薬剤性鼻炎になる恐れもあるので
『ちゃんと病院に行って薬を貰う方が良いですよ。』
とのことでした。

さらに、勉強(受験生)の合格率データも示され
市販薬を飲んでいた人と
病院の薬を飲まれた人との
合格率に違いが出たことを報告されました。


また、市販の薬で眠たくなるなら夜の睡眠も深くなるかといえば逆で、
眠りは浅くなり、起きても完全に起き切れない状態になるそうです。

ついでに、睡眠の話になり、太っている人に多い“いびき”“無呼吸症候群”は
睡眠を妨げ寝不足になりやすい。

太っているから寝不足になりやすい、ではなく、

寝不足の人は太りやすいと考えた方が良いそうです。
「ダイエットしたいなら質の良い睡眠を十分にとること!」とまで言われました。

やはり、睡眠の重要性はココにまで影響しているようです。





2)「食物アレルギー」 講師:柴田瑠美子先生

この小冊子を配られ、話が進んで行きました。
PDFでダウンロードできます。

アレルギーマーチの最初が食物アレルギーであることが多く
乳幼児から始まり、小学校に上がる頃までに落ち着く感じですが
もちろん、あと数年続くことも少なくありません。

アナフィラキシーを起こすことがある為
正しい知識を持って、医師の指導を忠実に守って欲しい。

ショック状態になったら、早い対応が不可欠ですが、
30分以内にエピペンを打つことは有効で
学校での対応も始まりつつあるようです。

もちろん、その心配がある方は家庭にも準備して欲しいですが
今のところ1万5千円程度と高い・・・
病院で処方してもらう必要があります。

打ち方の指導も受けられます。

さて、強調されたのが
食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関係ついて
同じアレルギー症状ではあるものの全く別物と考えて下さい。

除去食をすればアトピーが治ると勘違いされている方が多いですが
そうではありません。

アレルゲンは別と考えて下さい。

それから、もう一つ気を付けて欲しいことは、

アトピー肌の場合、皮膚のバリアが壊れているので
アレルゲンの影響を受けやすくなっています。

ですので、アレルギーを引き起こす食物が皮膚に触れても
反応することがあるのでご用心下さい。




3)「喘息:成人」 講師:岩永知秋先生


先生は、声が良い!滑舌が良く、聴きとりやすい!アナウンサー並み(^^)v
余談でした(^^ゞ

喘息治療は、ひどい時だけではダメ、日頃の予防治療が大事です。




発作の時に、気管を広げる為だけの治療では改善しません。






左のように気管が大きく開いているのが正常ですが、
右の図のように炎症を起こしていると気管は狭くなる。




だから、症状がない時でも気管の炎症を抑えてあげる治療が必要。



発作の時には、気管支拡張薬が必要だが、
日頃の炎症を抑えておく為に抗炎症薬を使う。




予防治療には吸入ステロイド薬が1番有効で、全身に廻るものではない為
副作用もほとんど心配ない。




やはり、症状がない時でも、予防治療は続けることが必要です。







少なくはなっていますが、やはり怖い病気です。



このグラフを見れば一目瞭然!
吸入ステロイドによる予防治療が有効とされ使われ出してから
喘息死の数も減少しています。





参考までに。。




全身に廻ることはないので副作用もほとんど心配ない。





このように吸入ステロイドは局部だけで全身に廻るものではない。




正しく継続して下さい。


参考までに。。



以上のように整理して下さい。




注意しなければいけないリモデリング!
気管支拡張薬ばかり使って、予防治療をしていないと大変なことになります。






だから、発作が無ければ治療は必要ない、は間違い!



ステロイドという言葉に敏感になる気持ちは分かりますが、
医師の指導を忠実に守っていれば恐い薬ではなく
最も有効な薬です。






喘息の炎症は喘息特有の炎症です。





ここにも煙草の有害性が・・・



このように、単にお医者さん任せに病院にかかっていればいいというものではなく
患者側も正しい知識を持ち日常生活を送ることが必要です。




  「喘息:小児」 講師:小田嶋 博先生



先生の話はスライドに沿って話されたので、以下の図を見て行けば分かると思います。



































ここで聴講者から質問が出ました。
「高密度カバーをしていれば掃除機がけは必要ないのですか?」

これに対し先生の答えは、カバー表面にアレルゲンが付きますので、
やはり掃除機がけは必要ですね。

ココで私から一言
高密度カバーをしていれば安心と思われがちですが、
直接、肌や目鼻に触れるカバー表面のアレルゲンは高密度カバーでも
抑えることは出来ません。


抑える機能があるのは次のカバー
 ↑
ちょっと宣伝してしまいました(^^ゞ





やはり減っては来ている喫煙率











4)「アレルギー性結膜炎」 講師:内尾英一先生


先生の話はスライドに沿って話されたので、以下の図を見て行けば分かると思います。
































































眼科に限っては、ステロイド使用は慎重にしなくてはいけない。

































5)「アトピー性皮膚炎」 講師:古江増隆先生




順次、図の説明を時々入れながら進めて行きます。



食物アレルギーとアトピー性皮膚炎は両対局にあることを示した表。



同じ原因と誤解され易いが別物と考えた方がいい。



アトピー性皮膚炎は、環境の変化などで良くなったりひどくなったり・・・








点線で囲まれた部分は痒くても掻けない部分なので症状が少ない。


左右のマウスともに耳を炎症させ、左のマウスは痒い時は自由に後ろ足で掻くことが出来るが
右のマウスは痒くても掻けない状態で実験すると右のマウスの炎症は治まっていく。



ヤフーで“アトピー性皮膚炎”を検索した画面
アトピー性皮膚炎についていっしょに考えましょう。

このページには、動画が豊富で分かりやすく役に立つページです。
是非お気に入りに!



これが、そのトップページです。
   ↓




以下、このサイトの中身です。








  ↑
以上、主な画像のある部分でした。
講演会中も動画を見せて頂きましたが、わかりやすいです。











薬を塗る時は、例えば腕ならば腕と垂直方向に塗る。
皮膚のしわが、その方向だから塗り漏れが少ない。








日本では、5g入りのチューブで一度に塗り過ぎないようになっている。
ですから、私達が使う量は少ない量。




人差し指の第一関節くらいの量が、0.5g
この量で大人の手2枚分くらいの広さに塗るのが目安。

ステロイドは出来るだけ使いたくないと、この量より少なく塗っても効果がない。






















スキンケアは最も重要なこと!きちんと続ける。
保湿薬を塗る時はシャワーや風呂上がり10分以内!
肌が潤っている時を逃さない!




6)「アレルギーとストレス」 講師:久保千春先生



ちょっと難しい内容なのですが、人間は精神的な部分に大きく左右されることを
分かりやすく例を上げながら話して頂きました。
スライドの内容は難しかったのですが(^^ゞ




ハゼ負けの人を目隠しして、かしわの葉っぱをハゼだと言って触れさせると症状が悪化する等の例。













ストレスを上手く発散できる人は左側、発散できない人は右側。
↓方向にあるように身体的に現れることがある(WBCでイチロー選手が胃潰瘍になったほど)









ここにも、ストレスが上位に現れています。









アトピーっ子に対するお母さんの関わり方は、子供の症状に影響します。
イライラしたり、過保護になったり、、、子供のストレスになれば症状に影響するそうです。




◎私の感想

当日は九州新幹線のあるイベントが大々的に行われており例年より聴講者は少なかったですが
これぞ少数精鋭という感じで質問が時間が足りないくらい出ました。

講演中は皆さん真剣に聴いておられ大変有意義な会になったと思います。

いつもスライドを活用しての講演スタイルですが、例年ならスライドもどんどん進んで
メモをとる間もなかったのですが、今年はプリントして配って頂いたので後で見返すのに便利で
資料として保管も出来、心遣いに感謝です。

それから、今年もスザキーズを展示させて頂きました。
多くの方に興味を持って頂き嬉しかったです。






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